日本アルプスのふもと、信州松本の北に安曇野市が広がります。そこに市が手掛ける安曇野文化財団の施設「飯沼飛行士記念館」はあります。
飯沼飛行士とは第二次世界大戦前の1937年、所属する朝日新聞の大事業として立川からロンドンまで94時間余りの大飛行を成功させた人物。同乗した塚越機関士とともに航空界のレジェンドです。
記念館は、2021年2月末まで冬季閉鎖中ですが、閉館前の12月中旬に取材で訪問しました。掲載記事は改めて月刊「航空ファン」誌の連載コラムで発表しますが、記念館で出会った多くの書籍に感銘を受けたことから、今回紹介したいと思いました。
取材のきっかけとなったのは、83年の時を経てこの事実を取り上げたスミソニアン航空宇宙博物館の定期刊行誌「AIR & SPACE」に「日本のリンドバーグ」として飯沼飛行士の偉業が紹介されたこと。記念館にこの誌面も置かれます。
館内では飯沼正明本人の復刻著作「航空随想」が目につきます。読み込むと謙虚な上に、信念の強い偉人であることが伝わります。特にセーターを着て、風にたなびく飛行帽の飯沼が神風号の前で飛行機モデルにサインする表紙写真の自然な表情がいい。
また、Net上で2005年に発行された447ページの大作、山崎明夫著作の「神風」も手に入れ、時代背景を読み込んでいます。
掲載する航空ファンでも2007年8月号で特集を組んでおり、定期的に紹介することでこの偉業を後世に伝えていきたいと切に思います。