
JAJAコレクション展2025会場正面に最終日まで飾られていたボーイング747‐300
有楽町で開催された航空ジャーナリスト協会のイベント「コレクション掘り出し市2025」は、6月21日に最終日を迎えました。高齢化が進む会員が長年大切にしてきた貴重なコレクションを、若い次世代へと送り届けることを目的とした、イベントとなりました。
会場の主役、JALボーイング747の新たな旅立ち
今回の展示で最も注目を集めたのは、JALの初代鶴丸塗装ボーイング747の巨大なモデルです。航空ジャーナリスト協会会員の斉藤文男さんが長年所有してきたこの貴重なモデルは、会期中、会場に足を運んだ大木聡さんの元へと、新たな旅立ちを迎えることとなりました。世代を超えて航空への夢が受け継がれる瞬間に、会場全員の顔がほころぶこととなりました。

所有者の斎藤文男さん(右)から大木さんへ譲渡の様子
大木さんは千葉県に住む非鉄金属会社のサラリーマン。飛行機はデザインで好みがわかれるそう。月刊エアライン2019年1月号のヒコーキマニア名鑑の初回編で紹介された根っからの飛行機好きです。
当時の記事にて一番好みのデザインはJALの旧鶴丸塗装と発言していることから、鶴丸には思い入れがあります。これほどの存在感のある機体が片手以下の破格値で手に入ったことにとても満足げ。自宅にはJALの747‐400ビジネスクラスシートもあることから、座って機体を眺める大木さんの笑みが見えてきそうです。
ご本人は、「今買わないと次は無い」と考えていることから、この先もコレクションは充実していくことでしょう。

右翼は先が折れているものの大木さんは修復しますと自信をもって言いました
歴史を刻むボーイング747は清水建設から斉藤さん、そして次世代へ
このボーイング747のモデルには、奥深い歴史が刻まれています。元々は、清水建設がJAL田町ビルディングの建設を受注した記念として1984年に贈ったもので、1/40というスケールで全長180cmにもなる、まさに圧巻の存在感を放っています。
興味深いことに、モデルはボーイング747-300であるものの、機体番号のJA8110はボーイング747-200のものであるという謎が残されており、その歴史にさらなる深みを与えています。
JALが放棄した後、再び清水建設が所有することになったこのモデルが、約30年前に斉藤さんの元に渡ってきたという経緯はまた、複雑なものがあります。

梱包をして、運ばれて行きました
斉藤さんはかつてJALパーサーとして、実際に空の旅を支えてきました。その斉藤さんの想いが詰まったこのボーイング747が、新たな持ち主の元で、これからも航空の歴史を語り継いでいくことでしょう。
「コレクション展2025」は、単なる展示頒布会ではなく、航空への情熱が世代から世代へと受け継がれていく、かけがえのない場となりました。