中国で製造した防護服やマスクなどが世界中に送られており、旅客の減少に対して貨物の動きは活発に見えます。座席にカバーを掛けたり、座席を取り払ってまで運ぶので、どれだけ貨物多くなったのだろうという印象を受けます。
実は、日本の航空貨物輸出入量は未曽有の落ち込みを記録しています。JAFA航空貨物運送協会が5月19日に発表した2020年4月の輸出重量は対前年で37%減の5.4万トン。輸入重量は22%減の6.4万トンでした。
旅客機で送るほどの貨物量があるなら増えていると思いがちですが、そうではありません。旅客便が減っているため、本来床下に搭載するスペースが無くなっていることで、その物量は貨物専用機だけでは運べなくて、旅客機の貨物転用便になって運ばれているということなのです。
輸入が多いのは、医療物資や食品など日本市場での消費が多いと推定されます。 それに対して輸出が少ないのは日本の得意とする自動車や精密機械、半導体部品など送ろうにも海外で工場の稼働が減っているなどの理由があると思われます。
では、航空会社は貨物部門の収益が減っているのかというとそうでもありません。貨物量が減っているもののひっ迫するスペースを販売するのに、貨物運賃が高騰している為です。市場では、航空会社とフォワーダー間の契約運賃は通常期3~5倍にも跳ね上がっています。
この運賃は、旅客便が就航を再開するまでの短期的な値動きです。