羽田空港が新たなブランド戦略で歴史を伝える

空港
HANEDA HOUSEを入り、スターバックスの奥になります

HANEDA HOUSEを入り、スターバックスの奥になります

羽田空港では近年、空港を単なる交通インフラではなく、日本の歴史や文化を発信する場として位置づける取り組みを本格化させています。その背景について、日本空港ビルデングの広報・ブランド戦略を担当する風間英里子さんに話を聞きました。

筆者も展示協力した羽田空港に就航したPANAM機と同社史料の数々

ヒストリー展再開へ

その取り組みを象徴するのが、2026年7月2日から第1ターミナル5階THE HANEDA HOUSEで始まった特別企画展「THE HISTORY OF HANEDA 空がつなぐ。」です。会期は2027年3月31日までで、入場は無料。ANAやJALをはじめとする日系航空会社、京浜急行電鉄や東京モノレールなど多くの企業が協力し、羽田航空宇宙科学推進会議(HASM)が特別協力した、貴重なアーカイブ資料を展示しています。日本の空の玄関口として発展してきた羽田空港の歩みを、人々の挑戦や時代背景とともに紹介する内容となっています。

風間さんによると、このヒストリー展は単独のイベントではなく、日本空港ビルデングが掲げるブランド戦略の一環として企画されたものです。背景には「羽田ビジョン」がありますが、それを来場者へ直接説明するのではなく、「まずは羽田空港の歴史に興味を持ち、実際に体感していただくこと」を重視しているといいます。

社内では、「なぜ会社が誕生したのか」「創業者はどのような思いで日本空港ビルデングを設立したのか」という原点を改めて社員へ伝える活動も進めています。社名が「羽田空港ビルディング」ではなく「日本空港ビルデング」であることにも理由があります。羽田だけではなく、日本全体の航空事業発展に貢献するという創業時の理念が込められているからです。

PANAM機の就航年代順に並んだ機体

公共性が高いからこそ航空業界全体を盛り立てたい

羽田空港は航空会社や行政など数多くの事業者によって成り立つ公共性の高い空港です。そのため、一企業として理念を前面に押し出すのではなく、展示や体験を通じて来場者が自然と歴史に触れられる演出を意識しているといいます。

今後は、展示を見るだけではなく、社内研修と連動した解説やHASM担当者による説明なども検討しています。社員自身が会社の歴史や存在意義を理解することで、「何のためにこの会社で働くのか」という使命感や誇りにつながると風間さんは話します。人材不足が課題となる時代だからこそ、企業理念や歴史を伝えることが人材育成にも直結すると考えています。

また、一般公開していない歴史資料も数多く保管しており、展示替えをすることで「長く見てもらうこと」の重要性も強調します。文章で読むだけでは伝わらない歴史も、現物を目の前にすることで興味や理解が深まり、羽田空港への愛着につながると考えているからです。

スケールは1/72と1/200があります 準備日の様子であり、展示物は他にたくさんあります

世界中から人々が集まる羽田空港。2025年の世界空港旅客数ランキングで9170万人と世界3位を記録しています。その空間を活用し、日本の航空史や空港の歩み、そして創業者の理念を未来へ受け継ぐ取り組みは、羽田空港の新たなブランド価値を育てる長期的なプロジェクトとして、これからも発展していきそうです。

筆者も二木純夫氏製作の10機のPANAM機とともに置かれる史料提供のお手伝いをさせて頂きました。

 

タイトルとURLをコピーしました