SkyDrive山口飛行試験場が示す空飛ぶクルマ開発の最前線

空飛ぶクルマ
飛行試験機1号機が山口で飛行する様子 ©SkyDrive

飛行試験機1号機が山口で飛行する様子 ©SkyDrive

 

日本の空における移動革命が、いよいよ国家プロジェクトとして本格的な加速を見せています。政府は今月、空飛ぶクルマを新たな日本成長戦略の検討テーマ案として位置づけ、地方創生の最重点項目として閣議決定しました。この歴史的な追い風を受け、開発の最前線である山口飛行試験場の存在意義がこれまで以上に高まっています。

SkyDriveの福原祐悟執行役員は、この状況を次のように捉えています。「空飛ぶクルマが地方創生の重点項目となったことは、社会実装を加速させる大きな一歩です。我々も身の引き締まる思いで開発に取り組んでいます」と1月30日のメディア公開日に話しました。

執行役員の福原裕悟氏の説明に熱が入る

初公開された山口飛行試験場の役割

今回、メディアに初めて公開された山口飛行試験場は、同社にとって「実用化への総仕上げ」を担う極めて重要な拠点です。ここに仕上がった機体を持ち込み、より実運用に近い環境で試験を繰り返しています。

「ここでは主に、時速100キロに達する高速飛行試験や、海上の特性を活かした長距離試験を行っています」と福原氏は説明します。試験場内には、12基のモーターの状態やバッテリー残量をリアルタイムで監視するテレメトリシステムを備えた監視室が設置されています。専門のエンジニアが複雑な波形データを注視し、パイロットと密に連携を取りながら安全を担保する光景は、まさに航空機開発の現場そのものです。

海側試験飛行場での福原執行役員

製造現場と開発チームの執念

試験場に隣接する格納庫では、実際に去年の万博関連で飛行した「2号機」などの機体メンテナンスや、各種センサーの調整が行われています。製造を支える株式会社Sky Worksの今村元寿氏は、この場所での作業の重要性を語ります。

「この試験場は、設計された性能が現場で正しく発揮されているかを確認する最終関門です。自動車製造で培った三現主義(現場・現物・現実)に基づき、不具合があれば即座に名古屋の設計チームと連携して対策を講じています」

格納庫内では、パイロットの視界を確保するための風防の改良や、着陸時の衝撃を吸収するスキッドの調整など、実用化に向けた細かなブラッシュアップが日々続いています。

Sky Works社長補佐の今村さんが静岡の製造拠点について説明しています

厳しい自然環境との戦い

飛行試験は常に天候との戦いです。特に山口の試験場は海に面しており、風の影響を強く受けます。「航空機としての型式証明を取得するためには、様々な風速や気象条件下でのデータ取得が不可欠です。本日は風の影響で試験内容を調整しましたが、こうした『飛ばせない日』の判断基準を積み重ねることも、安全な運航管理体制を築くための貴重なプロセスなのです」と福原氏は指摘します。

山口の海側試験飛行場の2号機

2028年の実装へ向けて

山口飛行試験場での取り組みは、単なる技術実証に留まりません。「どういう場所で、どのような人たちが、どのような難しさに直面しながら開発しているか。そのリアルを知っていただくことが、空飛ぶクルマへの理解に繋がると信じています」

山口試験場の格納庫

2028年の事業開始を目指し、スカイドライブは山口の地で一歩ずつ、しかし着実に空の未来を形にしています。国策としての後押し、自動車製造のノウハウ、そして航空機としての厳格な安全基準。これらが融合する山口飛行試験場は、まさに日本の次世代産業が産声を上げる場所と言えるでしょう。

 

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