ユナイテッド航空の100年を未来へつなぐ記憶を保管する「アーカイブ」

ユナイテッド航空
アーカーブの入るユナイテッド航空トレーニングセンターにはBOOM機のモデルが飾られていた

アーカーブの入るユナイテッド航空トレーニングセンターにはBOOM機のモデルが飾られていた

アメリカのほぼ中央に位置するデンバー国際空港。その西約20km、旧空港の跡地であるステイプルトンにあるユナイテッド航空トレーニングセンターには、86台という世界最大級のフライトシミュレーターが並んでいます。この世界有数の訓練施設の一角に、一般には公開されていない企業内博物館「ユナイテッド航空アーカイブ」があります。

今回、この貴重な施設を案内してくれたのは、ユナイテッド航空歴史財団のプレジデント、ポール・グッドイヤー氏です。

社長室に座るポール・グッドイヤー氏

ヘリテージセンターはユナイテッド航空の直営ではなく、1980年代にパイロットたちが散逸する歴史資料を保存しようと設立した非営利団体が運営しています。展示品の多くは社員やOBから寄贈されたもので、グッドイヤー氏自身も38年間ユナイテッド航空で勤務した後、退職後の人生を歴史保存活動に捧げています。

ユナイテッド航空歴代客室乗務員の制服

創業期からの歴史をもれなく披露する

展示は1925年の航空郵便輸送から始まるユナイテッド航空の歩みをたどる構成です。50社以上に及ぶ統合・合併の歴史を示すロゴや資料が並び、ボーイング247やDC-3、DC-8、747の模型や資料、歴代制服、リンクトレーナー、予約システム「アポロ」の関連資料まで、航空史を彩る数多くの展示が続いています。

吸収合併したコンチネンタル航空の制服やコンコルド塗装機も展示されています

戦後には米本土とハワイを結ぶ旅客の約8割を輸送した時代を物語る「ムームー」の制服や、将来導入予定の超音速旅客機Boomのモデルまで展示されており、100年にわたる技術革新と企業文化を一望できる内容です。

印象的だったのは、展示の多くが「人」を伝えていることです。歴代CEOの紹介には、社員の子どもが生まれるたびに母親へバラを贈ったというエピソードも添えられ、単なる経営史ではなく、人を大切にする企業文化まで伝えています。これは現役社員にとっても、自社のDNAを学ぶ教材になっています。

ウィングバッジやウィングバッジなどあらゆるロゴグッズがあります

グッドイヤー氏は「私はユナイテッド航空が大好きです。だから歴史を守りたい」と語ります。その言葉どおり、この施設は過去を懐かしむ博物館ではなく、社員教育の場として機能しています。新たに入社した社員や訓練を受けるパイロットが、自分たちが受け継ぐ会社の歴史を学び、誇りを持つための場所となっているのです。

昔のポスターが残ります

アーカイブの将来に期待したい

一方で、これほど充実した施設が一般公開されていないことは惜しまれます。グッドイヤー氏によれば、一般公開には運営資金が大きな課題であり、現在も財団への寄付や会費によって維持されているそうです。

現在のユナイテッド航空は、輸送規模で世界最大級のエアラインへと成長しました。世界中から航空ファンが訪れる企業博物館を持つデルタ航空やアメリカン航空のように、このヘリテージセンターも社員教育だけでなく、航空文化を発信する拠点として世界へ公開する価値は十分にあるのではないでしょうか。

ハワイ線の客室乗務員制服の「ムームー」もあります

100年を超える歴史は、ユナイテッド航空だけの財産ではありません。世界の民間航空が歩んできた軌跡そのものです。デンバーの訓練センター内で静かに受け継がれている「記憶の格納庫」が、いつの日か世界中の航空ファンや次世代の航空人に開かれた場所となることを期待したいと思います。そこには、ユナイテッド航空という一企業を超え、航空史を未来へ伝える大きな意義があるはずです。

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