ANAとJALが「同じ時間に飛ばす」のをやめる!羽田―岡山線で始まる国内航空の新時代

ANA
JAL・ANA両機の見える風景

JAL・ANA両機の見える羽田空港

ANAとJALが、2026年冬ダイヤから乗り入れる羽田⇔岡山線の運航時刻を相互に調整します。

両社は現在、それぞれ1日5往復、合計10往復を運航しています。しかし、運航時間が近い時間帯にかたよるのは、決して偶然ではありません。利用者が集中する時間帯だからこそ、両社が競って便を設定してきたと考えられます。

今回の冬ダイヤでは、その重複を避けて両社の出発時間を分散させ、利用者が幅広い時間帯から選べるようにします。これは、国土交通省の「国内航空のあり方に関する有識者会議」が示した航空会社間の「路線協調」を、具体的なダイヤに反映した動きです。

羽田空港のANA・JAL機

「利用者利便」と「公平な競争」の両立が課題

航空会社が競合他社と「いつ飛ばすか」「何便飛ばすか」を意図的に調整することは、独占禁止法との関係で慎重な対応が必要です。

現在の国内航空は、需要構造の変化に加え、燃料費や整備費、人手不足などのコスト増加に直面しています。特に地方路線では、路線そのものの維持が難しくなるケースもあります。

こうした状況を踏まえ、国土交通省は2026年5月、「国内航空のあり方に関する有識者会議」の報告書を公表しました。文書の中では競争を原則としながらも、国内航空ネットワークの維持と利用者利便の確保を目的とした一定の協調を認める方向性を示しています。

重要なのは、ダイヤ調整と便数など供給量の調整を区別している点です。ダイヤ調整は一定の条件下で独占禁止法上問題とならないとの整理が示され、供給量まで調整する場合には、航空法110条に基づく独占禁止法の適用除外制度の活用も検討されています。

もっとも、利用者利便を考えるなら「単に便を分散させればよい」というわけではありません。

例えば始発便と最終便を同じ航空会社が押さえれば、その会社が実質的に有利になります。朝一番に出発でき、夜遅くまで利用できれば目的地滞在時間が増えることで、その航空会社に利用者が流れる可能性が高いためです。協調するのであれば、需要のある時間帯を機械的に分散するのではなく、始発・最終便を含めて両社の公平性を高めることが重要です。

新たな羽田⇔岡山間の時刻 ANA

ANA・IBEXに続く国内航空の協調

この流れは、ANAとIBEXにも表れています。ANAとIBEXは7月、従来のコードシェアをさらに発展させ、ANA便の「運航業務の管理の受委託」に関する包括的な業務提携に合意しました。2029年度の事業開始を目指しています。

ANA・IBEXとANA・JALは、制度上まったく同じ独占禁止法適用除外の事例ではありません。しかし、いずれも有識者会議報告書を契機として、国内航空会社間の協調が動き始めた象徴的な事例といえます。

次は「便数調整」「共同運航」へ進むのか

さらに注目したいのが、今回のANAとJALの取り組みが時刻調整だけで終わるのかという点です。両社は今後、便数調整や共同運航についても検討する考えを示しています。

人口減少や地方路線の需要低下が続けば、ANAとJALだけでなく、地域航空会社や中堅航空会社を含め、「競争する」から「競争しながら路線を残す」という発想が広がる可能性があります。

ただし、その際に重要なのは、航空会社側の都合による「協調」にならないことです。需要のある時間帯を利用者から奪うのではなく、競争による選択肢を確保しながら、公平なダイヤを構築する必要があります。

今回の羽田―岡山線は、単なる時刻表の変更ではありません。

この協調が本当に利用者の利益につながるのか。今後、同様の事例が全国に広がるかどうかを占う重要なケースとなりそうです。

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