
窓の大きな胴体と十字翼が特徴のファルコン機
シンガポールエアショーにおいて、フランスのダッソー・アビエーションが誇るビジネスジェット、ファルコン6Xが地上展示されました。メディアに公開された機体は、ビジネスジェットの中でも高い居住性と、最新のテクノロジーが融合した一機として注目を集めました。長距離飛行を前提としながらも、これまでの機体にはなかった広さと快適さを追求した機体の魅力をお伝えします。

PR会社代表のLeithen Francisさん(左)の案内で機内を見ました
広胴型ビジネスジェットという新しい選択肢
ファルコン6Xの最大の特長は、ビジネスジェット界で最高レベルを誇るキャビンの断面サイズにあります。エクストラ・ワイドボディと称されるその室内は、高さ1.98メートル、幅2.58メートルあります。これは、現代の長距離ビジネスジェットの中でもトップクラスの数値を誇り、大柄な成人が機内を直立して移動できるだけでなく、隣り合う乗客との距離感にも余裕をもたらしています。

ビジネスジェットでは広い空間の機内で窓の大きさが引き立ちます
地上展示された機内に足を踏み入れると、まずその開放感に気付きます。従来の細長いビジネスジェットのイメージを覆すほど横幅が広く、まるで高級ホテルのラウンジをそのまま空に持ち出したかのような空間が広がっています。ダッソーは、この広さを活かして3つの独立したラウンジエリアを設けており、仕事、食事、休息といった用途に合わせて機内を使い分けることが可能です。
スカイライトがもたらす自然光の魔法
機内デザインの特徴は、ギャレーの天井に設置された業界初のスカイライトです。窓が小さくなりがちな機体前方において、上部から自然光を取り入れるこの試みは、閉塞感を和らげています。展示機においても、シンガポールの明るい陽光がスカイライトから降り注ぎ、清潔感のあるギャレー空間を演出していました。

スカイライトのある機体前部のギャレー ©Dassault Aviation
キャビン全体には左右合計30の大型窓が配置されています。これにより、どの座席に座っていてもパノラマのような景色を楽しむことができ、自然光がふんだんに入る設計となっています。視覚的な広がりは、長時間のフライトにおける疲労軽減にも直結するため、多忙なビジネスエグゼクティブにとって非常に重要な要素となります。

機内は大型テーブルが収納展開できる構造です
究極の静粛性
ファルコン6Xは、目に見える広さだけでなく、五感で感じる快適性にも徹底的にこだわっています。キャビン内の騒音レベルは低く抑えられており、飛行中でも囁き声で会話ができるほどの静粛性を実現しています。これは機体の構造設計や遮音材の最適化によるもので、長距離移動後の疲労感を最小限に抑える効果があります。
さらに、機内の与圧システムも最新鋭です。高度約1万2000メートルを飛行している際でも、機内の気圧は標高1200メートル以下に保たれます。これにより、体内の酸素濃度低下を防ぎ、時差ぼけや体調不良を軽減します。

ダッソー社のシャレーから機体を見る
パイロットを支える最新のデジタル技術
ダッソーの航空機といえば、ラファール戦闘機の開発で培われた高度なデジタル技術の転用で知られます。ファルコン6Xにも、最新のデジタル・フライト・コントロール・システムが搭載されており、乱気流の中でも機体を極めてスムーズに制御し、乗客に揺れを感じさせない安定した飛行を提供します。
コックピットには最新のハネウェルのアビオニクスが採用され、パイロットのワークロードを低減しています。また、視界不良時でも安全な離着陸を支援する「ファルコン・アイ」コンバインド・ビジョン・システムが搭載されており、運航の安全性と定時性を高いレベルで両立させています。

コックピットウィンドウ前にはファルコンアイのシステムが見えます
アジア市場における戦略的意義
今回のシンガポールエアショーでの展示は、アジア市場に対するダッソーの強い意気込みを感じさせるものでした。ファルコン6Xの定員は12~15名を標準として航続距離は1万200キロに及び、シンガポールからダッソー本社のあるフランスをノンストップで結ぶことが可能です。
ビジネスリーダーたちは、単なる移動手段としての航空機ではなく、機内での生産性や到着後のパフォーマンスを最大化できる環境を求めています。ファルコン6Xが提供する広さと快適なキャビン環境は、まさにそのニーズに対するダッソーからの回答といえるでしょう。

コックピットです
地上展示された実機は、その洗練された外観デザインとともに、細部にまでこだわった内装の質感で訪れた人々を魅了しました。今後、このクラスのスタンダードを塗り替える存在として、ファルコン6Xが世界の空でどのように活躍していくのか、期待が高まります。

