初めての海外旅行を後押ししてくれたのは、ある航空券でした。
高嶺の花の海外はもう二度と行けないかも知れないと思っていたので、後悔しないように、盛り沢山の訪問地を考えてアメリカ行きを決めました。
場所が決まらない計画段階に朗報が。
200ドルの航空券。 これでアメリカのどこを廻れると思いますか。 実は二週間の無制限だったのです。
日本人の自由旅行誘致で、販売開始した「ビジットUSA」でコンチネンタル航空が発行していました。各社から出ていた航空券では一番安価だったのです。
10枚綴りの赤いカーボンコピー航空券が渡され、使い切れば空港カウンターで追加料金無しで更に発行できるというものです。
ようやく、目的地が決まりました。
到着地のロサンゼルスから、航空機の街シアトル。若者の集まるニューヨーク、リゾートのマイアミ、カジノを覗きにラスベガスへと行く事ができます。
特異な点は、当時からハブアンドスポークの概念のあったアメリカで、デンバーとヒューストンを経由しないと行けない場所があるという事だけです。
旅の最初に、直行なら3時間のロス→シアトル間をデンバー経由で8時間。
これも直行なら5時間のシアトル→ニューヨーク間を10時間掛けて移動しました。 時間のある若者にとって、機内食にありつけるのは有り難い話で、パンケーキとオムレツという同じメニューを食べ続けました。
旅の途中で出会った学生に、このチケットを教えてあげると大層羨ましがられたものです。彼がポケットから出したのは、グレイハウンドのバス周遊チケットでした。「陸路で大陸横断は、一回で充分だよ」
経由便の経験も得難いものですが、旅の最後の区間でマイアミ発ラスベガス行きの65便が楽しかったです。ヒューストン・オースティン・エルパソ・フェニックスを経由する5レグのアメリカ南部ローカルホッピングフライトでした。
行程をボーイング727の-100ないし-200型機で堪能しました。
この機材の特性を知らされたのは、ホッピング便のヒューストン空港着陸時に、ゴーアラウンドした時でした。
エンジンをすぐ後ろに眺めながら景色を堪能し後部座席にいましたので、着陸復航の最大出力は驚かされました。エンジンが胴体にあるが為に鼓膜が破れるかと思うほどの轟音でした。
それ以降は、一度もないこの時だけの経験です。
コメント