
2023年パリエアショー会場の様子
世界最大級の航空ビジネストレードショーとなるパリエアショーが6月16日から22日までル・ブルジェ空港を会場として始まります。
ANAグループ三大メーカーとの大型契約と新ビジネスクラス発表
ANAホールディングスは、パリエアショー会場にてBoeing、Embraer、Airbusとの航空機調達に関する調印式を実施します。芝田浩二社長が各社代表と登壇し、今年2月25日に正式発表した内容ではあるものの、セレモニー的に再告知する場になります。また、新しいビジネスクラスシートをお披露目する場も設けられます。777Xにも搭載が期待され、乗客体験の向上を目指した革新的なシート設計が注目されます。
Airbus:サステナビリティと次世代機の展示に注力
Airbusは「持続可能な航空」の未来をテーマに、リヤド航空塗装のA321XLRやA350シリーズなどの最新鋭機体を展示します。また、SAF活用の取り組みやゼロエミッション航空機の開発計画「ZEROe」も発信予定です。特に貨物市場への本格参入を示すA350Fが注目を集めています。

Airbus A321XLRのデモ機
Boeing:顧客重視と革新をアピール
Boeingは「お客様、革新、パートナーシップ」をテーマに出展し、777Xや737 MAXなどの商用機に加え、防衛・宇宙分野でのソリューションも展示で紹介します。また、カタール航空777-300ER の実機展示が予定されています。6月12日に起きたエアインディアの787‐8型機の墜落により、展示規模が縮小される可能性もあります。

ボーイング777X-9のデモ機
Embraer:リージョナル航空の成長戦略を前面に
EmbraerはE2ジェットシリーズを中心に展示し、特にE195-E2が注目されます。静音性や燃費性能の高さに加え、低環境負荷を訴求することで、地域航空のニーズに応える姿勢を打ち出しています。ANAとのサイニングもその象徴といえます。

エンブラエルE195-E2のデモ機。
ATR:地域航空ネットワーク拡充への貢献
ATRは市場拡大の動きを受け、AZUL航空塗装のATR 72-600の展示を行います。またハイラインという高級インテリアのモックアップも並びます。環境性能と経済性を両立させた設計が評価されており、特にアジア市場での需要拡大を見込んでいます。

AZUL航空のATR72-600
MHIRJは再起への一歩を示すのか
三菱重工業のMHIRJ(本社:モントリオール)はシャレーで展示を行います。三菱重工の民間航空機セグメント長の髙口宙之氏に加え、民間機副セグメント長兼MHIRJ CEOの山本博章も会場に駆けつけることから、MSJ無きあとの新たな動きがあるかも知れません。
日本のメーカー13社(IHI、IHIエアロスペース、イーグル工業、川崎重工業、新明和工業、SUBARU、大同特殊鋼、ナブテスコ、日本飛行機、プロテリアル、 三井精機工業、三菱重工業、三菱電機)も日本航空宇宙工業会の合同ブースで展示を行うことから、世界に注目される新しいプロダクトが出ると面白いですね。
コロナ渦明けの航空業界は、旅客の急増で黒字化になるエアラインも多いながら、サプライチェーンの混乱は続き、米国の関税問題に結論は出ておらず、混迷の続く中でどれだけのテクノロジーの進化を見せることができるか、注目されています。
※写真は全て2023年パリエアショー会場で筆者撮影