
エミレーツ航空3機のフォーメーション飛行
ドバイエアショー2025の目玉となるフライトディスプレーが、今年もアルマクトゥーム国際空港の空を舞台に繰り広げられました。特に開幕初日は、合計60機にもおよぶ大編隊が低空を通過し、イベントの幕開けを華やかに飾りました。
壮大なオープニングフライト
オープニングを飾ったのは、UAE軍のヘリコプターと軍用機による編隊、そしてエミレーツ航空のワイドボディ旅客機の編隊飛行です。このエミレーツ編隊では、2024年11月に初納入されたエアバスA350が空中編隊飛行に初めて参加するという瞬間を迎えました。

UAE空軍のフォーメーション飛行
先頭のA380からB777、最後尾のA350に至るまで、それぞれ計算し尽くされた高度差を設定した緻密な飛行は、UAEの卓越した航空能力と高度なフライトプランニング技術を世界に示しました。このオープニングフライトは、ドバイエアショー2025の最高のスタートを切ったと言えるでしょう。
エミレーツ航空に続き、アブダビを拠点とするエティハド航空のA380と、ドバイを拠点とするフライドバイのボーイング737-Maxが、高度を変えて編隊を組み、UAEの航空ハブとしての存在感を印象付けました。

エティハド航空とフライドバイが続く
俊敏さと静粛性を両立した民間機のデモンストレーション
オープニングに続き、フライトディスプレーは次世代民間航空機のデモンストレーションへと移行しました。
ボーイング777X-9の圧倒的なパワー
まず登場したのは、ボーイングの次世代フラッグシップであるボーイング777X-9です。世界最大の双発ジェット機として知られる777Xは、その巨大な機体からは想像もつかない俊敏な動きを披露しました。

ボーイング777Xの力強い飛行
低速で会場上空を通過した後、エンジン出力を絞り、機首を急激に上げて高迎角で上昇する姿は、観客の視線を集めました。この大型機が戦闘機のように急角度で旋回する動きは、革新的なGE9Xエンジンの圧倒的な推力と、進化したフライバイワイヤシステムによる精緻な制御能力を雄弁に物語っていました。新型エンジンの設計と翼の空力性能の進化による静音飛行は、運航コスト削減と環境負荷軽減への貢献を強くアピールしています。
COMAC C919が世界に挑む
次に、中国の国産旅客機COMAC C919がフライトディスプレーに加わりました。ボーイング737やエアバスA320といった世界のナローボディ機市場に挑むC919にとって、アジア以外でのデモフライトは、今後の世界市場での存在感をアピールする上で重要です。

COMACも負けじとC919を飛ばす
ナローボディ機らしいキビキビとした動きと、低空でのタイトな旋回操作は、その高い操縦性を印象付けました。C919の登場は、アジアが航空機製造において世界の主要プレイヤーになりつつあることを象徴しています。

他社に引けを取らない見事な飛行を見せるC919
エアバスA350-1000の洗練された優雅さ
ボーイング777Xのライバル機であるエアバスA350-1000は、長大な機体と洗練されたデザインが特徴です。A350-1000のデモフライトは、777Xの力強い展示とは対照的に、一貫してスムーズで優雅な動きで展開されました。

A350-1000の急上昇
ロールスロイス トレントXWBエンジン独特の吸気音を響かせながら急角度の上昇に移り、急旋回時には、その長い翼がしなやかに曲がる様子は、機体の空力的な美しさを際立たせていました。A350-1000のデモンストレーションは、静かで効率的でありながら、必要に応じて高いパフォーマンスを発揮できるポテンシャルを証明し、長距離路線における快適性と経済性を高次元で両立させた現代の旅客機の一つであることを明確に示しています。

A350-1000の低速ローパス
これらのデモンストレーションは、各メーカーが追求するパワー、効率性、そして操縦性の革新を具体的に示しました。航空技術の進化が止まることなく、より静かで、より遠くへ、より効率的に人々を運ぶ未来がすぐそこまで来ていることを改めて確信する内容でした。

