
スターラックス航空の客室乗務員がA350-1000機内でミラーを視認しています
毎年ドイツ・ハンブルクにて開催される「エアクラフトインテリアエクスポ(AIX)」をご存じでしょうか。2026年は4月14日~16日に行われます。
航空業界において、機体そのものの性能は差別化しにくいものですが、エアラインの個性が発揮できることから重要視されるのが「客室(キャビン)」の品質です。乗客が数時間から十数時間を過ごす機内空間は、エアラインのブランド価値を直接的に左右する場といえます。

シンガポール航空ボーイング787エコノミークラスのビンです
世界最大級のキャビン・イノベーションの祭典
AIXは、航空機のシート、照明、機内エンターテインメント、ギャレー、トイレ設備など、客室を構成するあらゆる要素が一堂に会する国際見本市です。これほど大規模なイベントでありながら、B2Bがゆえに一般的にはその存在はあまり広く知られていません。しかし、航空業界関係者にとっては、次世代の機内仕様を決定づける最重要イベントとして位置づけられています。

JAL国際線ボーイング787-9の機内は2‐4‐2のゆったり配列
2026年の開催では、460社を超える企業が出展し、来場者は7,500人以上にのぼる見込みです。特筆すべきは、世界中から190を超えるエアラインが訪問する点です。各社の担当者は、自社の機体改修や新機材導入に向け、最新のテクノロジーやデザインをこの場で吟味します。まさに、私たちが将来搭乗する飛行機の「中身」がここで決まると言っても過言ではありません。

ミラーの導入に積極的なJAL 写真はボーイング787-9
コミー株式会社の出展と役割
私が顧問を務めるコミー株式会社も、このAIX 2026に出展します。同社は、航空機のオーバーヘッド・ビン(手荷物収納棚)の死角を解消する「FFミラーAir」で世界的に知られる企業です。機内の保安を維持し、安全性向上とCAの業務負担軽減に直結する製品は、また昨今では折り返し便の乗客の動線をスムーズにするアイテムのひとつとしても注目されており、多くの主要エアラインで採用されています。
世界各国の航空会社が一堂に会するこの場において、日本のものづくりがどのように評価され、新たなスタンダードを提示していくのか。多くのワイドボディ機にはエアバスの標準仕様も含めて採用されるようになりましたが、ナローボディ機への装着はまだまだこれからです。ジャーナリストとしての視点からも、同社の挑戦には大きな期待を寄せています。

ナローボディ機には未装着があります
コミー株式会社は、これまでビンの天井に装着するFFミラーから新たに両サイドに装着するSPRを開発し、より軽くより強く、より安価な製品を世に出しました。この製品の会場での反応も気になるところです。

SPRの利用解説図 ©コミー株式会社
同時開催のエキスポによる相乗効果
AIXの会場では「ワールドトラベルケータリング&機内サービスエキスポ(WTCE)」も並行して開催されます。こちらは機内食やアメニティ、機内販売品などに特化した展示会であり、インテリアとサービスの両面から「パッセンジャー・エクスペリエンス」の全体像を捉えることができます。

スターラックス航空エアバスA350-1000ビジネスクラスのビン
機内のハードウェアを決めるAIXと、ソフトウェアを担うWTCEが同時に行われることで、エアラインはより包括的な機内戦略を練ることが可能となります。最新の機内食トレンドやサステナブルなアメニティが、最新のシートデザインや機内エンターテインメントとどのように融合していくのかを観察できるのも、このイベントの醍醐味です。
将来の新たな高密度エコノミークラスのデザインが発表されて話題になるのも、このAIXから。会場にはコミーのセールスエンジニアが顧客対応を行います。毎年その成果を聞くことが愉しみになっています。

ピーチアビエーションは新たに導入するA320neoXLBINからミラーが装着されました ©Peach Aviation
ハンブルクで示される数々のソリューションが、今後の空の旅をどのように変えていくのか。コミー株式会社をはじめとする出展企業の動向とともに、その進化を注視していきたいと思います。

