伊丹空港で騒音調査のフィールドワークをしたことが・・

昔の出来事

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航空趣味に邁進している高校時代の地理学習で、フィールドワークとして伊丹空港の騒音調査を行いました。

題して、「伊丹空港 騒音実態調査」です。高校一年生の冬の事です。

評価は、赤二重丸で最高の20点。少し自慢です。

そこに残された白黒写真の数々が今では見ることのできない風景を残しています。航空機は勿論、写り込んでいる自動車が古く、当時の様子を蘇らせてくれます。

フィールドワークですので、実際のご家庭を訪問して、騒音についての質問を投げかけるのですが、皆さん協力的でした。

そこで感じた事は、地主と言われる方々は自分の大事な土地に大きな騒音が生活に入り込んできて大変だったろうなということです。

自治体の騒音対策助成金は家屋内一室のみの防音改装に限定され、普通の生活をするにはその部屋から出ない訳にもいかず、結局は助成を受けていないという悲しき実態がありました。

それに比べて、交付金をあてに騒音を知って引っ越して来る方もいるという事実も解りました。同じ住民でも両者には大きな隔たりがあります。

1975年にあった、大阪高裁二審判決で、夜間午後9時から午前7時までの飛行差し止めと損害賠償請求についても言及しています。現在に引き継がれる市街地空港の運用実態がほぼこの時期に決まったことになります。

空港内にある大阪航空局騒音対策課への聞き取りも行っており、国としては航空会社と協力して次のような施策を出していることを聞きました。


1.
離陸後の早い上昇の推進


2.
滑走路上で滞留しない離陸方式のローリングテイクオフ


3.
航空機エンジンの改修の推進


4.
機材大型化により飛行頻度の低廉 などです。

騒音測定所も6箇所に設置し、昼間107ホン、夜間100ホン以上の発生で航空会社より始末書を取得するなどの対策を行ったとの記述があります。

更には、ワイドボディー機への機材大型化による、航空機事故発生時の被害甚大化も議論されており、今では思いも付かない考えがあったのだと解ります。

多くの旅客が搭乗する大型旅客機の事故を起こしたくないという考えです。

新鋭機材で騒音が減る実態も明記しています。

機体重量が150tでほぼ同じDC-8-61とエアバスA300-B2の騒音値が、117db、90dbという結果です。

このナローとワイドの違いのある二機の機体重量が近いのも発見です。

前述の大型化による事故被害甚大化の議論が、騒音軽減化の前に影を潜めて行く過渡期だったようです。

小型化による多頻度運航よりも大型化による便数削減を選んだということです。 

周辺住民への自治体の支援も直接の騒音対策だけでなく、航空産業全体への理解を深める「伊丹スカイパーク」施設の充実など、当時は考えも付かなかった事です。

現在は、自治体活動が伊丹空港周辺10市で構成される大阪国際空港周辺都市対策協議会との名前になり、騒音対策だけでなく、伊丹空港を発展させて行こうと調和を前面に出しています。この土地出身者としてはこれらの動きをとても注目しています。


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