パイロットの書いた書籍は多く出版されています。
洋書の分野では、USエアウェイズのサレンバーガー機長が離陸後のエアバス機エンジンストップでハドソン川に着水した奇跡を追った「機長、究極の決断」は手に汗握りました。
今回ご紹介するのは、ブリティッシュ・エアウェイズ ボーイング747の副操縦士である、著者マーク・ヴァンホーナッカー氏が自分自身の経験をおり交ぜて書いた341ページもの読み応えのある早川書房刊の「グッド・フライト、グッド・ナイト」です。
翻訳者は、異色の防衛大学卒で女性自衛官だった岡本氏です。
訳に違和感は無く、その文章に生を吹き込んでくれているように感じます。
読む前の想像を遥かに超える満足感が得られます。
読みながら自然と一体感を持っている自分に気付きます。
ロンドンを基点に長距離国際線を飛んでいるので、地球儀を俯瞰するような気分で読み進むこととなります。日本へのフライト経験も書かれており、親近感を持たせてくれます。
今までのどのパイロット物とも一線を画す心に残る充実の一冊。
コックピットの様子を表現するのに、「乗務中に使われなくなった灰皿の蓋を開けてみたら何かがあった」というエピソードが楽しめました。何かは、読んでみてください。「夜間飛行が好き」の理由も書かれています。
「出発地の滑走路は殆どの場合、目的地の方角を向いていない」など、当たり前であるものの、普段考えない事を言われると、妙に納得します。
他にもいろいろありますが、お教えできないのが残念です。窓側の席に座ることが好きな人は必須で、そうでない人も是非、お読み頂くことをお勧めします。
こんな素敵なパイロットのいるBritish Airwaysとボーイング747ジャンボジェットが更に好きになりました。