JAL DC-6Bの旅情

紙モノ

 

JAL1

1954年に日本航空の国際線を担う機材として導入されたDC-6Bは期待されていたことが伺えます。


座席数は国際線仕様で、36~58席とYS-11よりも少ない容量で時速も450km/
hでしかありません。それでも、当時の最新鋭エンジンを4発搭載することで航続距離を5000㌔も持ち、国際線に相応しい与圧が装備された客室で快適性がぐんとアップしたことが解ります。




 当時は、海外渡航の自由化はされておらず、一部の限られた人の搭乗に限られていました。そんな時代の航空機旅行案内を手に入れました。



神保町や、都内各所で定期的に開催される古書市にまめに足を運んでいるとたまに見付かることがあります。またとある横浜の古書店主氏は、「近所に航空会社の社宅があってねえ、引っ越す時に奥さんが売って行くんだよねえ」なんておっしゃっ
ていました。タイミング良く出会えるかどうかは、運次第です。


このJALのものも、古書市で誰の目にも触れずに残されていた物のうちの一つです。読み返すと、当時の一般的では無い航空旅行が安全であり、楽しいものだと謳っているところが楽しく、わくわくしながら読むことができます。


その中の一節をご紹介します。

航空機旅行がどんなものか、まずは安全であることから解説されています。



「豪華で信頼性に富む太平洋を横断する最新型旅客機」



「日航のDC-6Bは数ある旅客機の中で、もっとも近代的な航行計器を装備しております。この旅客機は、どんな悪天候に遭遇しても、安全な航行ができます。最新式なラジオが装備され、乗務員は、航路上はもちろん、多くの遠距離の地点にある気象台や空港とつねに連絡を保ちます。もし、皆様の中で、これらの設備についてお知りになりたい方がございましたら、どの乗務員も、喜んでご説明申し上げます。」

また、スチユアデスが搭乗しており、機内でのサービスについて触れています。

「皆様のスチユアデスよりごあいさつを申し上げます

ようこそ本日はご搭乗くださいました。これから皆様のお供をさせて頂き、”新しい日本の翼”日本航空をご紹介申し上げることは、私共一堂心からの喜びでございます。


この豪奢な日航機は、二つの大陸を結ぶ家庭の延長として、皆様をすばらしい快適な空の旅にご案内申し上げます。

機内のサービスについて申し上げます

 飛行中の音楽 皆様のご旅行をより愉快なものにするために、次から次へと快い憩いのメロデイをおおくりいたします。

 皆様のお食事 日航の自慢の一つ! 最新設備の整った調理室からは、湯気の出るような温いお食事やお飲物を皆様のお食膳にお運びいたします。


 一流の料理人が、腕にヨリをかけたお献立は、さぞかし皆様の味覚をそそることと存じます」(引用すべて原文ママ、以下省略)


と続きます。インフライト・エンターテインメントの無い時代でも、音楽が流されていたことが解りますし、一流の料理人が、腕にヨリをかけたお献立というのもいかにも美味しそうで手間を掛けた食事が思い浮かびます。

このパンフレットを見ながら考えました。航空旅行の昔は良かったという人が多くいます。 私も同感です。 ただ、過去への憧憬でそのような感情も解るのですが、航空旅行は今もこの先も過去よりずっと素敵で楽しいと思います。

過去の事実と成功があって今がある訳で、このブログでは古い航空業界の話題を多く取り入れることによって、私が経験した事実をご紹介したい。自分を振り返る意味でも重要ですし、それを楽しんでいきたいと思っています。




 jal dc-6b

 

 

  

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