IATA国際航空運送協会は9月9日、ワクチンが開発され、全世界の人口分を輸送するのにジャンボジェット8,000機が必要になると発表しました。
世界の人口78億人分のワクチンの総量は、およそ80万トンと推定され、ジャンボジェット貨物機1機で約100トンの搭載量ですから、総計で8,000機が必要となる計算です。
現在世界にそれだけのジャンボジェットがあるかというと、ひとことで言うと全く足りません。ボーイング社の資料によると旧型のBoeing747-200Fの数字が不明ながら、エアラインへデリバリーした747-400F、747-400ERF、747-8Fを合わせて257機でしかありません。この数字は、全体の3%にしかなりません。
これにボーイングのより小さな他のシリーズ機757-200PF、767-300F、777Fを加えても708機で9%。
貨物機には強くないエアバスではずっと少ない数字です。同社の資料では、A330-200Fは世界に38機しかデリバリーされていませんので、ボーイングに頼らざるを得ない状況です。
温度管理が必要となるワクチン。輸送時間の短い航空貨物輸送が相応しいのですが、これだけの物量になると、海上輸送も考えないとサプライチェーンが破綻します。
来るべきワクチン開発の日を待ちつつ、物流業者は輸送の計画を立て始めていることでしょう。単一輸送量としては過去最大のもの。スムーズに届く日を世界が待ち望んでいます。