
フランスのツールーズで初飛行へ離陸したA350-1000URL機 ©Qantas
エアバスは6月2日、世界最長航続距離を持つ新型旅客機「Airbus A350-1000ULR」がフランス・トゥールーズで初飛行に成功したと発表しました。これはオーストラリアのカンタス航空向けに開発された超長距離仕様機で、同社が進める「プロジェクト・サンライズ」を担う機体です。
今回飛行した機体は製造番号MSN707で、カンタス航空が発注した12機のA350-1000ULRのうち最初の機体です。初飛行では特別な試験計測装置を搭載し、約3時間43分にわたり飛行。高度4万1,000フィート超まで上昇し、基本的な飛行性能や新たな燃料システムの検証が行われました。
航続距離約1.85万キロで22時間ノンストップ飛行を可能に
A350-1000ULR最大の特徴は、その圧倒的な航続距離です。追加された後部中央燃料タンク(RCT)により、標準型A350-1000より約1,850㎞続距離を延長。約1.85万Km)という世界最高レベルの飛行性能を実現しました。
これにより、これまで技術的・経済的な制約から実現が難しかったシドニー-ロンドン間の直行便が可能になります。飛行時間は最大22時間に達し、途中で給油のために立ち寄る必要がありません。過去にはカンガルーの足跡のように何度も途中寄港することから名づけられたカンガルールートも今は昔となりました。
航空業界では長年、「オーストラリア東海岸と欧州をノンストップで結ぶこと」が最後の未開拓市場の一つとされてきました。A350-1000ULRは、その課題を解決する航空機として大きな期待を集めています。

超長距離飛行に対応した快適な客室環境
22時間という超長時間飛行では、燃費性能だけでなく乗客の快適性も重要になります。
新たに開発された軽量かつ高効率なギャレー冷却システムの認証試験なども実施されます。さらに客室内の換気性能や温度管理システムについても詳細な検証が行われる予定です。
カンタス航空が導入する機体はプレミアム4クラス仕様となり、長時間の搭乗でも快適に過ごせるフィットネスルームの装備などの客室設計が採用される見込みです。
この先の試験では、2か月かけて約80時間の試験飛行を行うことになります。また、地上での広範な点検と、A350が超長距離路線を飛行できるようにするための新設計および改良された部品の認証を受ける予定です。
A350ファミリーの新たな主役に
A350-1000ULRは、A350-900、A350-900ULR、A350-1000に続くA350ファミリー第4の旅客型となります。A350シリーズは優れた燃費性能と低いCO₂排出量、静粛性の高い客室環境で高い評価を受けており、2026年4月末時点で世界68社から1,579機を受注、700機以上が運航しています。
今回の初飛行成功は、単なる新型機の登場ではありません。地球上のほぼあらゆる都市間を直行便で結ぶ時代への大きな一歩といえます。A350-1000ULRは、世界最長航続距離を持つ旅客機として、航空輸送の新たな歴史を切り開こうとしています。
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