出発当日は、11時の出発に向けて、SWRでマニュアルのチェックインが行われました。お客さんは、殆どドイツ人で、マニア層の深さが偲ばれます。
ドイツ人の職人気質は、このようなメカニックな航空機に惹きつけられるのでしょう。
ランプに佇むDC-4の姿は、小柄な貴婦人のようで優美な姿です。
肌はポリッシュで、綺麗に化粧されており、輝いていました。
タラップの短さが印象に残る楽しい搭乗でした。
翼の面積に対して、4発もあるエンジンの存在感が大きいです。
エンジン音は、低音で腹に響き、何か共鳴するような唸る様な様子です。
離陸時は、窓が開いたような大爆音が響きます。実際に開いていることに気付くのは後なのですが。
400キロに満たない距離を1時間余りで飛行します。
機内は、2-2の配列ながら、国産のYS-11に比べ余裕があります。
搭乗者は全員マニアですので、機内はウロウロする人でざわついています。
機体後方の左右に木の扉があり、これがお手洗いでした。
今では、通路に沿って左右に分かれた個室で、奥にギャレーのあるのが一般的ですが、当時の機体で最大客室長を得る為に、最後部に手洗いを設置したようです。ギャレーは前方一箇所のみでした。
機内を探索するには、お手洗いも必須です。 足を踏み入れるや驚愕の事実を目の当たりにします。
シューという音と共に、外気の動きが解るのです。
そうです、窓が開いているではありませんか。 開いた窓に流線型のカバーが付けられているので、出した手がもぎ取れる(!!)心配はありません。
恐る恐る手を差し入れてみると、カバーの先で機体の外に少し指を出す事ができました。紛れも無く、外気に触れました。貴重な経験です。
与圧の無い飛行機とはこういうものかというのは、他にもあります。
行程の半ばを過ぎる頃に、窓が曇って来るのです。これを拭き取るのに、タオルが廻ってきました。
ルクセンブルクでは、空港ランプにいるだけなので、入国はしません。
素晴らしい経験と共に、復路のフライトも噛み締めながらチューリッヒ・クローテン空港へ戻りました。
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