会社が消えて、17年が経過しました。吸収した側のボーイングでもマクドネル・ダグラス機は減りつつあります。 同社機を継続運航してきたKLMのMD-11ラストフライトを寂しく感じたご同慶も多いのではないでしょうか。
DC-8、DC-9やDC-10を代表機とする同社の機体造りは職人気質が感じられます。とても頑丈に造られた、質の高い技術が光る航空機があります。
例えば、DC-8であれば上空でも逆噴射を作動することが出来ました。
今の機体であれば、そのような操作にはロックがかかりますが、MD機は
運航乗務員の腕が試される作動が可能なマニュアルな部分が残されていました。これによって、日本航空DC-8片桐機長の羽田空港沖不時着は心身症と名前と共に有名になりました。
DC-10にしても、第二エンジンを尾翼に串刺す大胆な機体デザインは、素人では絶対に思い浮かばないものです。エンジンを保持する技術力や、方向舵が小さくなる事による飛行特性の維持など、工夫の多い機体です。ボーイングとは設計思想を異にするダグラス機。エンジンの搭載位置に特徴があります。
ロスアンゼルス郊外のロングビーチ空港に工場がありました。
ある夏の日の午後に、同所を訪れました。LAに済む人達が、レジャーで訪れる場所です。安らぎを求める観光地と精密機械として先端産業としての航空機製造が隣り合っている不思議な場所です。
一般空港として定期便が飛び、地域住民の足となっていますが、敷地の北半分が工場になっています。
敷地面積30万坪、従業員約2万人と聞きました。
DC-10とDC-9の最終工程を行う場所で、それぞれ月産2機と7機の製造が可能とのこと。
内部では、ゴルフ場にあるような電気自動車で案内してくれました。
TDAがDC-9-80を発注した時で、レッドアンドグリーンの機体が完成を待っている状態でした。
たまたまTDAの職員と同時期の訪問です。
「日本人のあんな若造が来ているぞ」というような、強い視線を感じたのを覚えています。そりゃそうですよね、相手は視察団体で一人の案内人、私は一対一のアテンドなのですから。
フライトラインと呼ばれる完成機の並ぶ場所には、各社のDC-10が並びます。ケニア航空やスイス航空などが見えます。
見学の最後には、後々まで大事なコレクションとなるお土産を頂きました。
DC-9とDC-10を運航したエアラインのロゴステッカーです。
DCシリーズの数字の9と10をモチーフとした形で、今でもアルバムの中に納まっています。
また、同社のロゴが空への憧れを掻き立てるような素晴らしいものでした。
空へ駆け上がる航空機のデザイン。いつまでも忘れないでいようと思います。