元祖特別塗装機、コートラインとの出会い

ホビー

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スタンド付きの機体全景(撮影:二木純夫)
英国にコートラインというエアラインがありました。特別塗装機のはしりとも言えるカラフルなカラーリングをしていたことで強い印象を持っています。1957年に前身のアンガス航空という名前で事業が始まり、ルートン空港を拠点に当初はDC-3から運航がスタート。社名がコートラインに変わった1970年にはBAC111を主力とするエアラインでした。1973年には従来機の4倍の座席数を持つ2機のロッキードL-1011トライスターを欧州で初導入したことで、社名が知られるようになりました。

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顧客をレジャーマーケットにターゲットを絞った同社は、機体をパステルカラーで塗り、旅立つ楽しさを前面に出しており、特にカリブ海方面への就航で顧客を集めました。トライスターの1機はイエロー、もう1機はピンクで塗り分け、異彩を放っていました。座席の背もたれに往復分の機内食をセットし、乗客が自分の好きなタイミングで食べるという乗員の手間を省いたサービスも、記憶に残ります。機体を大きくし過ぎたコートラインは、経営に行き詰まり1974年には破綻しています。イエロー機の機体名は「Halcyon Days=平穏の日々」でしたが、経営的には平穏では無かったのが皮肉なものです。

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ピトー管まで再現されています
時は日本の1975年頃。大阪で育った筆者は自転車を乗り回す高校生でした。伊丹空港へ出向いては、飛行機の写真を撮る日を過ごします。道すがらの模型店のショーウインドーにあったのは、コートラインのトライスターでプラモデル完成品。1/144スケールの黄色バージョンのG-BAAAだったのです。

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ANA1974年にはトライスターを導入していましたので機体を目にしていましたが、こんなカラフルでスタイリッシュな飛行機があるのかと目が釘づけ。どうしても手に入れたいと、数日後に小遣いを握りしめ買いに行きました。完成品を買うなど初めてのこと。主翼の上下にまで塗装のある機体をいつまでも眺めていたものです。

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この位置からのエンジンナセルのカーブが好きです 

以降、何度となく引っ越しを繰り返し、行方不明になったことが残念でなりませんでした。その話をプラモデルの展示会でした時に反応してくれた人がいました。群馬在住の二木さんは、静岡ホビーショーで知り合い、以降「大劇作展」で多くの航空機モデルを発表されている紳士です。旅客機ではPANAMのシリーズを製作されています。

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展示会でのPANAM Boeing737-200型機
二木さんから、当時と同じスケールのモデルが届いたときはその完成度に驚いたものです。
運ばれて来たケースがまた見事に機体を固定しており、まるでサンダーバード秘密基地を見ているよう。このような格納にも心踊ります。

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機体の格納庫です

今では、実際に見ることのできない機体が模型として身近に残るのは嬉しいことです。今は、我が家でHalcyon Daysを送る機体なのでした。

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