【ドバイ・エアショー特集4】 Hondaの長距離飛行AAMドバイで初公開

エアショー
HONDAが発表するeVTOLの機体 ©HONDA

HONDAが発表するeVTOLの機体 ©HONDA

Hondaがドバイ・エアショー2025において、次世代の空のモビリティであるAAM(Advanced Air Mobility)のプロトタイプを初めて対外的に公開する運びとなりました。この機体は、市場の先行組とは一線を画す「長距離」と「ハイブリッド」という独自の強みを持ち、空の移動に新たな選択肢を提案します。

400km超を実現する「ハイブリッド電動推進システム」の革新性

多くの競合他社がバッテリーのみを動力源とする純電動eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing)機を開発している中、Hondaが採用したのはガスタービンを搭載したハイブリッド電動推進システムです。

これは、主要な動力源としてバッテリーと電動モーターを使用しつつ、長距離飛行時やバッテリー残量が減少した際にガスタービンを発電機として稼働させ、電力供給を継続するシステムです。このアプローチにより、従来の純電動eVTOLが抱える航続距離の制約を大きく克服し、400km以上の長距離飛行を実現しています。

この「航続距離400km超」という性能は、大都市圏内での移動に留まらず、都市間をシームレスに結ぶ地域間モビリティとしての活用を可能にし、ビジネスジェットや短距離の民間航空機が担ってきた役割の一部を代替する可能性を秘めています。

HONDA AAMの全体像  ©HONDA

Honda Jetの知見を活かした「安心・安全」へのこだわり

HondaのAAM開発の基盤には、ビジネスジェット「Honda Jet」の開発・製造で培われた航空機設計の高度な知見と、高い安全性への哲学があります。

特に、機体の信頼性や、万が一の事態にも対応できる冗長性の確保は、空を飛ぶモビリティにおいて最優先されるべき事項です。航空機の認証プロセスや安全性に対する厳格なアプローチは、自動車メーカーとしての大量生産技術と融合することで、高品質かつ安心できる空の移動サービスの提供を目指しています。

また、ガスタービンを使用するとはいえ、あくまでeVTOL機としての電動モーターによる低騒音性と、バッテリー技術の進化による環境負荷の低減も両立させており、環境性能と実用性のバランスを追求しています。

HONDA eVTOL 飛行の様子 ©HONDA

ドバイでの初商談が示すグローバル戦略

ドバイ・エアショーという国際的な舞台での初お披露目は、HondaがこのAAM事業をグローバルな基幹事業として展開していく強い意志を示しています。

中東地域は、富裕層やビジネスパーソンによる需要が高く、また、インフラ整備への積極的な投資が行われていることから、AAMの早期社会実装が期待される市場の一つです。

Hondaは、このハイブリッドeVTOLを単なる機体として提供するだけでなく、2030年代の商用化を見据え、運航事業者やインフラパートナーとの連携を深め、空の移動サービス全体のエコシステム構築に貢献していく構えです。

後発ながらも「長距離」という明確な差別化ポイントを持つHondaのAAMは、空飛ぶクルマ市場におけるゲームチェンジャーとして、川崎重工業とともに4社のみの日本企業の出展ではドバイの地で大きな話題になることが想定されます。

HONDAが米国で試験飛行した際の画像 ©HONDA

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