秋の日の日曜日、愛知県小牧基地での第3回国際航空宇宙ショーが開催されました。
父親と共に向かったのですが、食事や会場への往復の行動が全く記憶に無いのは、それだけ航空機に気持ちが向かっていたからです。
会場に足を踏み入れるや否や、轟音が耳をつんざきます。視覚からの記憶が多い中、聴覚からの記憶というのはそれだけ凄まじかったのでしょう。
機体は木の葉のように翻弄されて飛行しています。一体これは・・・唖然呆然、言葉にならない衝撃。今でも改良型が飛ぶ、ホーカーシドレーハリアーの性能でした。
飛行機って真っ直ぐ飛ぶという常識が崩れました。デモンストレーションを終えた機体はやがて、会場の中心部にやって来て、静止するではありませんか。静止なのに、爆音轟かせたままの空中停止は、何とも言えない迫力があります。
ユーモアのある動きをします。そう、主翼を中心に機首が上下に動いているのはまさにお辞儀です。もう、この段階で高揚感は最高潮。
しばらくして廻りがざわめくのは、アメリカ海軍が誇るF4ファントムのブルーエンジェルスが飛行するというアナウンスが入ったからです。一機でも轟音のファントムが6機編隊で飛ぶことの凄まじさ。重戦車が同時に空を飛ぶイメージと言っても解り難いか。
軍用機の飛行を見るのも初めてな上に、編隊飛行がどれだけ迫力があるものかその時に初めて身をもって体験したことになります。
地上でのエンジンランナップからして、その迫力。黒茶色の排気を長く伸ばして飛んでいます。現在の身軽な航空機に無い重厚感です。大胆なフォーメーションと言い、飽きさせない構成に驚くばかり。青い天使の名前に似ず、動きは華麗ながら、音は重量級。すっかり魅せられてしまいました。
この二つの飛行がほぼこの日のハイライトでした。
ブルーエンジェルスはその後来日していませんし、この時も、本番で飛んだのはこの一日だけで、予行演習の騒音問題で、以降中止になったということでした。
2012年には、名古屋で国際航空宇宙展が開催されて、行ってみました。
親孝行のつもりで、当時の心の昂ぶりを期待したのですが、それほどの感激が湧かないままだったのが残念でした。
世界のエアショーに比べて、日本での同様の展示はまだ購買の場としてもショーとしてのエンターテイメントとしても遅れているような気がします。
名鉄電車の記念乗車券と小さなちらしだけが手もとに残されており、当時の熱い記憶が蘇ります。
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