ZIPAIR Tokyoが貨物便で就航開始に

航空業界

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JAL系の中長距離LCCZIPAIR Tokyoがこのほど63日に貨物便として成田⇔バンコク路線に就航することを発表しました。コロナ禍で世界のエアラインがあえぐ中、新規航空会社就航開始は世界初事例です。


 客席には貨物を搭載せず、床下貨物スペースを使用するというもので、販売はJALが行います。Boeing787-8型機は仕様書では床下に45tの貨物が搭載できることになっていますが、これはボージョレヌーボーなどの重量勝貨物(容積に対し実重量の勝っている貨物)では達成できますが、日本発着で搭載する一般貨物では到底達成することは出来ません。20tの搭載が目標とされていますが、これさえ重量勝です。容積と重量の釣り合う貨物だと約15トンの搭載量となります。

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現在、タイ政府は6月末まで国際旅客便の就航を許可していません。貨物スペースがひっ迫しているので短期的には物量はあるでしょう。就航曜日も、税関が開庁し貨物の通関と搭載に都合のいい水~土曜日の週4便で本気度が伺えます。タイに日系自動車メーカーの完成車工場は7社で11か所ありますので、稼働再開による部品の輸送は期待できます。

 それでも、日本全体の輸出航空貨物量は4月実績で対前年22%減にて推移しています。なかなか厳しい船出となるでしょう。

 さて、15tの貨物で採算が取れるかというと儲けは出ないと考えるべきです。航空貨物マーケットは、搭載スペースの減少で運賃が普段の35倍程度に値上がりしています。この運賃が取れたとして一回の輸送で6百万円の売上(15トンで400/キロ)しかないことになります。現在、燃油サーチャージがゼロになっていることも売り上げに影響します。

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ボーイング787-8の運航経費は時間当たり1.1万ドルと言われていますので、計算するとバンコクまでの6時間では約720万円かかります。

 貨物の基本は旅客と違って片道輸送。バンコク発でも搭載量は保証されるとは限りません。しかし飛ばない限りは航空会社の存続理由は見当たりませんので、貨物便ででもパイロットの技量維持をしつつ旅客便早期再開を期待したいところです。

 就航日に成田空港に取材に行くことが決まりました。

新規就航の思いなど聞いてきたいと思います。

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