
チューリッヒ空港に到着したA350‐900 ©SWISS
スイスインターナショナル航空(SWISS)は、2025年10月9日、長距離機材であるエアバスA350-900型機(機体記号:HB-IFA)を、拠点であるチューリッヒ空港に迎え入れました。エアバス社のトゥールーズ工場から飛来したこの真新しい機体は、現地時間15時25分に到着し、多くの航空ファンや関係者から温かい歓迎を受けました。
このA350-900の導入は、SWISSの機材戦略において重要な意味を持ちます。なぜならば、ボーイング777-300ER型機が運航を開始してから数えて、9年ぶりとなる新たな長距離線用機材の追加となるからです。ヤンス・フェーリンガーCEOは、「A350とともに、効率性、先進性、そしてプレミアムエアラインとしての立ち位置を具現化し、航空旅行の新時代へご案内します」と述べ、この機材が技術面、環境面、そして乗客の機内体験の全てにおいて大きな飛躍をもたらすことを強調しました。

エアバスで製造中のスイスインターナショナルエアライン向けのA350-900 ©SWISS
新機材を彩る特別塗装「SWISS Wanderlust」
この記念すべき初号機は、特別な「SWISS Wanderlust(スイス・ワンダーラスト)」塗装をまとっています。これはスイス人アーティスト、フレデリック・シーゲル氏が手掛けたもので、機体の胴体やエンジンナセルが「世界初の空飛ぶアートギャラリー」になっています。
遊び心と創造性に満ちたこのデザインは、SWISSと母国スイスとの密接な絆を表現するものです。機体には、ロック界のレジェンドであるフレディ・マーキュリー、スイスを擬人化した「ヘルヴェティア」が寝椅子でくつろぐ姿、そして可愛らしい高山動物のマーモットなどが描かれており、スイスの有名なランドマークや伝統的なモチーフ、スポーツイベントなどが、現代的なユーモアを交えて紹介されています。
このイラストレーションは単なる装飾なだけでなく、AR(拡張現実)体験「SWISSトレジャーハント」への入り口ともなっており、乗客に機体を巡る発見の楽しみを提供しています。

A350は特別塗装で彩られている ©SWISS
プレミアムな「SWISS Senses」と高い環境性能
機内には、完全に刷新された「SWISS Senses」キャビンコンセプトを導入し、快適性、デザイン、テクノロジーを新たな高みに引き上げました。搭乗者は、よりリラックスできる、洗練されたプレミアムな空の旅を体験できます。ファーストクラス3席、ビジネスクラス45席、プレミアムエコノミークラス38席、エコノミークラス156席の合計242席構成になっています。

SWISSの新ファーストクラス ©SWISS
また、A350は現在運航されているワイドボディ機の中で最も先進的であり、燃費効率の高いエンジンと優れた空力性能により、二酸化炭素排出量の削減に大きく貢献しています。静粛性の向上も特徴であり、SWISSは2031年までに合計10機のA350を導入予定です。

スイスインターナショナルエアラインの客室乗務員たち ©SWISS
初号機は、パイロット訓練のためヨーロッパ内での短距離路線に投入され、10月25日にチューリッヒ発パルマ・デ・マヨルカ行きの有償旅客便が予定されています。その後、11月20日からは、新しいキャビンサービスとともにボストンへの長距離路線に初就航し、いよいよ本格的な運航を開始します。